アイスブレイクについてのメモ

あちこちで「日本語学校の授業が始まったよ」という声を聞いて、ああそうかその時期だったっけと思う現在無職です。

新年度が始まってだいぶ時間が経ってしまいましたが、人々が最初に顔合わせをするときによく行われるアイスブレイクについて、自分でも忘れないようにちょっとここに書いておきます。

 

アイスブレイクって、緊張で凍ったような場をほぐすための活動ですよね。

例えば、みんなで輪になってボールを投げあいながら自己紹介をするようなあれです。

あれって、どうして行うのか。

楽しい雰囲気になるから、みんなで話しやすくなるから、お互いのことが少しわかるから、だいたいそんなことで取り入れるんだと思います。

それはもちろん正解。

でも、教師はもう一歩踏み込んだところで、その目的をきちんと捉えて行うべきじゃないかなと思うんです。

 

国語学習において、緊張したときとそうでないときの口の滑らかさは違います。

それからアウトプットだけでなく、インプットにも影響ある場合が。

だから頭の緊張を解くために体の緊張を解く、まずそのためのアイスブレイクです。

体が適度に弛緩すると頭の緊張も解けます。

そうすると口もより滑らかになったり、新しい情報も入りやすくなったりします。

イスに座って固まった姿勢でいるより、立って体を動かしてほぐしましょうということです。

 

それから、知らない人と話すより知っている人と話す方が気楽です。

だから、お互いを知るためのアイスブレイクをします。

でもクラス全体に向けての自己紹介は苦手な人もいます。

また、好きすぎてしゃべり続ける人がいても、まだクラス全体がそれを受け入れる雰囲気ではないかもしれません。

そこで、簡単にお互いをちょっと知るためのアイスブレイクをするわけです。

 

この二つを兼ね備えた具体的な方法として、最初に書いたようなものは進行もしやすくていいですね。

輪になって誰かにボールを投げます。

投げるときにその先の人に向かって何か質問を言います。

「お名前は?」「好きな食べ物は?」

受け取るときにそれに答え、そしてまた誰かに投げながら質問をします。

ある程度時間を決めて行う感じです。

 

それから、私はもっと好きなのがあります。

誕生日順で並ぶアイスブレイクです。

1月からでも日本の新年度4月からでもいいんですが(これもみんなに聞いて決めます)、全員立って近くの人と誕生日を教えあって、月・日が早い順に教室の真ん中に一列に並びます。

その後、できた列をぐるーっと輪の形にして、全員が顔を見せ合うようにして最初の人から名前と誕生日と何か一言自己紹介していく、というものです。

これをするときの注意点は、クラスの中で誰かが仕切らないようにすることです。

「はーい、じゃあ4月の人からここ並んでくださーい」とかされてしまうと、何も話さないままただ並ぶ人が続出してしまいます。

そして、これを始めるときに教師は「誕生日の月・日が早い順に並んでください。年は関係ないですよー」というお約束のセリフを入れること。

なぜかこれがウケます。

誕生日ってすごいパワーがあります。カレンダー的には何でもない普通の日でも(もちろん祝日生まれの人もいますが)、その人にとっては特別な日。

それをみんなに聞いてもらえるって、ちょっとワクワクします。

 

あと、どのアイスブレイクをするときにも大事なのは、教師もその中に入って同じことをするということです。

教師もこのクラスの一員であり、一段高い教壇みたいなところに立っているわけではなく、みんなと同じところにいます、と最初に知ってもらうためです。

 

書き出してしまえば、その目的はやっぱり特別目新しいことではありません。

ただ、これらを意識して行うことで、その後の本題である授業に効果をそっくり引き継げると私は考えています。

そして、メンバーによっては、体を動かしてそんな子供みたいなこと…、と思われるかもしれません。

そんなときは、これらのアイスブレイクの目的について先に少しバラしてもいいのではないかと思います。

理屈が通っていれば、大人も納得。

 

誕生日順で並ぶというのは、こちらの本にあったものをアレンジしたものです。

 

アイスブレイク入門

アイスブレイク入門

 

 

この本には他にも面白いのがたくさん載っていて、通常の授業内の活動に使えそうなものもあります。
あー、私もこういうのまたやりたいなー。
今は、新しい社会にやって来てまだ自分がアイスの状態です。仕事もまだこれから。

不正はどうしていけないか

6月に行われた日本語能力試験(JLPT)の結果が受験者に届いてきています。

その中で、実力がないのに合格している人がいるという話も教師側から聞こえてきました。つまり不正の疑いがあるということです。

これが通ってしまうのはいいことではないですよね。

でも、「不正はよくないです。」「不正はいけません!」と言うだけでは、そのような受験者には効果はありません。

どうして不正をするとよくないのか。

最終的に自分が不利益を被るから、ということにつなげないと説得力を持たせられません。

昔、私が偶然その説明に成功したことがあります。

日本語学校に勤めていたときです。

日本留学試験の結果が返ってきて、学校中でその話で盛り上がっていました。

そんな中、一人の学生が意外な高スコアを出したという報告が(日本留学試験は合格不合格ではなく、スコアで出しますね)。

彼は非漢字圏の学生で、勉強は嫌いで、話すのもそれほど流暢ではありません。

漢字学習はほとんどしません。

ほとんど漢字が読めなくてあの問題を解けるのはおかしいです。

ためしに「~さん、目がいいですね」と言ってみました。

「( ̄∇ ̄;)ハハハ、はい、わたしはとても目がいいです」

何を意味するかわかったようです。

私が怒らないものだから、調子に乗って彼はこう言いました。

「先生、私は大学に行けますね?」

そこで、私は思い出してこう続けました。

「あー、その点数を大学に出したら、面接試験で突然『今日の新聞を声を出して読んでみてください』と言われますけど、~さんは留学試験よかったし、大丈夫ですね。」

焦った彼は、

「先生、専門学校、専門学校!」(簡単に入れると考えているため)

「専門学校でも、この点数出したら『こんな優秀な人がどうしてこの学校に入るんですか?』と聞かれるね~。いろいろ難しい質問されるかもね~。」

彼、大慌て。

「先生、どうしたらいいですか。」

留学生の入試では、面接のときに新聞を渡されて音読してくださいと言われることがあるそうです。

覚えておくと使えるかも。

 

ウソや不正はどこかで整合が取れなくなってくるものですよね。

 

Googleフォームで自動採点テスト

先日こんなtweetを読んで飛びつきました。

 Googleフォームで自動採点テストが作れるようになったとのことです。

周囲でも、これをきっかけにお試し問題を作ってみた日本語の先生がたくさんいました。

私も1問作ってみたのですが、その後息子の寝つきが悪くなったり、仕事が山のように届いたりで、2日中断。

今日、勢いつけて最後まで作ってみました。

最近日本語学習者に教える仕事をしていないので、自分の趣味に走って、

京浜急行クイズ。

goo.gl

↑よかったらやってみてください。

 

ところで、作ってみて思ったのが、テストを作ると自分の勉強になるってこと。

そういえば、中高生だった頃クラスにいましたね。テスト前に自分で問題を作ってみる友人。

記憶ストラテジーの例にもありますものね、「生成効果」。

自分で問題を作ったり解いたりするという方法。

 

鉄ヲタでもマニアレベルでもない私は、このクイズを作るために久しぶりに真剣に調べました。

特に勉強になったのが、これの回答のフィードバックの文章を書きこんでいたときです。

なぜその選択肢が正解になるのか、はっきりとした説明を書かなければならないので、自分の勉強になりました。

やっぱり知識は入れるだけじゃダメなんだな、何らかの形で外に出さないと。

 

テスト作りというより、あらためて自分の勉強方法を見つけちゃったのでした。

リハーサルするってこと

日本語教師がする準備のひとつ、教案作り。
日本語教師養成講座ではフォームもある程度指定して作ってもらいますが、実はフォームなんてその人が使いやすいようにすればいいのです。
ただ、初めは教案をクラスメイトなど人に見てもらうこともあるので、他人が見やすいフォームにしてあるだけです。
それで、面倒だと思わせてしまっている部分もあるのですが、この教案を最初からざっくりとしか作ってこない人もいます。

極端な場合だと、作ってこない人も。

 

課題になっている教案を作ってこなかったということは、その人は教案の必要性を感じていなかったということです。
自分の母語についての授業だから教材さえあれば簡単にできるだろうと考えているのかもしれません。
それならば、それをあらためてもらいましょう。
時間のかかることではありますが、シナリオの必要性を実感してもらうところから始めたらどうかな、なんて考えてみました。

 

例えば、テーマを決めて5分間のスピーチをしてもらう、そして間や終わりに質疑応答の時間も挟むようにします。
テーマは、日本語についてだけれど、その人の得意分野ではないところを突いてみたらいいような気がします。
「なぜ『ヤバい』は二つの意味で使われているのか。また中級レベルの学習者にこれを聞かれたらどのように説明するか」
とか。
実際に学習者に聞かれる質問をテーマに持ってくれば、授業と無関係でもなくなります。

 

これを何も下調べせずに話し始めたら難しいでしょうし、説明の不十分な部分について質問されたらまた答えるのが難しくなります。

これで、前もってシナリオを用意して想定する質問についてもリハーサルしておくこと=教案、の重要性を理解してもらえるのではないでしょうか。

実は、市川海老蔵さんの記者会見を見て、思いつきました。
奥様の病状やご家族の苦労については切り離して、記者会見についてだけ考えてみました。
彼は株を上げたと思います。
そして株を上げた要因としては、リハーサルが考えられます。
想定される質問の回答をきっちり練習してきたなと思いました。
過去の、彼が騒動を起こしたときのマスコミ取材への対応は、暴言や失言に近いものがありました。
それを忘れさせるほどの今回の記者会見。

この動画を見比べるというのも、教案作りの必要性に気がついてもらうきっかけになるかもしれません。

わかりやすく伝えるために

特に日本語教育に限らず、

何かをわかりやすく相手に教えたいときに、その教えたいものを一所懸命説明してもなかなか伝わらないということがあります。

ところが、そこにひとつ手を加えるだけでパッと相手に伝わるようになります。

 

キーワードは「対比」です。

 

「大きい」という言葉を知らない人に、象やお屋敷のような家などの絵を示し続けてもそれのどこに共通点があるの?となってしまう。

「対比」させます。

対になるのは「小さい」ですから、

大きい→象、お屋敷

小さい→ねずみ、犬小屋

という感じで絵で表せば「大きい」がどんな意味を持つのか伝わりますよね。

 

「大きい」「小さい」では簡単すぎるので、ほかの例を。

 

「ざらざら」を説明してください、と言われたら難しい。

そういう手触りのものを触らせてわかってもらってもいいですが、なんとなくつかみどころがありません。

「ざらざら」の後に「つるつる」のものを触ってもらって両方教えたらいいと、私は思うのですがどうでしょう。

 

類義語を教えるときにも「対比」です。

この場合は、共通点を示してから、その後違う部分を「対比」するといいと思います。

例えば「きらきら」と「ぴかぴか」。

共通点は光ること。それが点滅している感じ。違いは、光が反射しているのと、そのものがひかっているのと、ですかね。

その違いの部分を強調して「対比」させれば、わかりやすくなるんじゃないかなと思います。

 

これって、日本語を教える以外でも使えるキーワードではないでしょうか。

今の高校生って、じわるわ~、それな。

前回、2008年の流行語大賞について書きましたが、先日今年の大賞が発表されました。

頭に「ユーキ○ン」が付くようになってから、なんだか全然流行っていない「流行語」が選ばれるようになってしまったなぁと毎年思います。

wikipediaによると、2004年からですか。

 

流行っていない流行語はさておいて、

テレビで今流行っている言葉は何かと高校生にインタビューしていました。

私は言葉が何かということより、その説明にびっくりしました。

上手なんです。

「じわる」「それな」なんていうのが取り上げられていました。

「『じわる』ってどんなときに使うかちょっとやってみて」とインタビュアーに言われて、即座にロールプレイをする高校生カップル、実のところ意味は十分には伝わってこなかったのですが、その瞬発力には驚きました。

そして、「それな」を説明する女子高生には、そのわかりやすさに驚きすぎました。

本来の、共感するという意味を説明した後で、「それから、興味のない話のとき、それを終わらせたいってときも『それな』って言います」。

過不足ないというか、聞いていてすっきりしました。

 

説明の上手な子の映像を選んだのだと思いますが、今の子は学校でプレゼンテーションとか教わっているんだなぁ、すごいなぁと羨ましい気持ちで見ていました。

 

日本語の授業でも、流行語大賞をネタに授業をすることがあると思いますが、

学習者に自分の国の若者言葉を日本語で説明してもらうなんていいかもしれませんね。

自国の文化についてわかりやすく説明ができることを目標にする、どうでしょう。

2008年の流行語大賞

流行語大賞のノミネート発表というニュースを聞くと、毎年思い出すことがあります。

2008年、流行語大賞のノミネートも発表されない夏の頃、私は日本語学校の学生に「今年は絶対これが入ると思うんだよね!」と1冊の本を掲げました。

 

『「婚活」時代』

「婚活」時代 (ディスカヴァー携書)

「婚活」時代 (ディスカヴァー携書)

 

 

婚活にかぎかっこが付いています。

この本から就活以外の「~活」という造語が続々生まれて行ったのです。

これが「~活」のはしり。著者が特別な言い回しをしたからかぎかっこが付いているわけです。

 

その後、流行語大賞のノミネートが発表されて、やはりその中には入りました。

その年、上位入賞はしませんでしたが、婚活という語はもう一時の流行語ではなくなりました。

ちょうどホリプロスカウトキャラバンでグランプリを取った子より、その下の賞の子のほうが後々大女優になってしまうケースと同じです。

 

後で、それを先に当てて喜んだ私ですが、

2008年の夏に「婚活」という言葉は来るよ!と力説したとき、

日本語学校の学生の一人に「それは先生が関心あるっていうだけじゃないですかぁ?」と言われたのは忘れない。

それを言ったのは新婚の男子学生。

お前なんて不k(ry

と心の中で繰り返しましたよ、だってそのとき私はプライベートじゃボロボロだったんですから。